クレジットカード払いの家計簿のつけ方|二重計上を防ぐのは「利用時と引落を分ける」

クレジットカードは家計簿でつまずきやすいポイントの代表です。「買ったとき」と「口座から引き落とされたとき」の二つのタイミングがあるため、つけ方を間違えると支出を二重に数えてしまいます。この記事では、複式簿記の考え方でクレカ払いを正しく記録する方法を、具体的な仕訳例で解説します。

この記事の要点
  • クレジットカードの帳簿は「利用時」と「引き落とし時」の2回に分けて付ける。
  • 利用時は「費目(支出)/未払金(負債)」、引き落とし時は「未払金/預金」で記帳する。
  • 支出として数えるのは利用時だけ。引き落としは負債の精算なので支出にしない=二重計上を防げる。
  • 分割・リボの手数料は元本と分け、複数のカードはカードごとに負債科目と締め日・引き落とし日を管理する。
クレジットカードの利用サイクルと未払残高を表示したクレジット管理画面
カードの利用額・未払残高・次回引き落としを自動集計するクレジット画面(アプリ実画面)

なぜ、この論点が家計簿の中心になったのか

ひと昔前なら、家計簿は現金の出入りを書けば足りました。いまは事情が違います。経済産業省が2026年3月に公表した数字では、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)。そしてその内訳を見ると、圧倒的にカードです。

決済手段キャッシュレス決済額に占める割合金額
クレジットカード82.7%134.6兆円
コード決済10.2%16.6兆円
電子マネー3.7%6.0兆円
デビットカード3.4%5.5兆円

民間最終消費支出のうち6割近くがキャッシュレスで、そのうち8割超がクレジットカード。つまり多くの家庭では、支出の半分近くが「使った日と、お金が出ていく日がずれる」取引になっています。経済産業省は2030年までに65%という中間目標を掲げているので、この比率は今後さらに上がります。

カードの記帳を正しく扱えるかどうかは、もはや細かい話ではありません。家計簿の精度そのものを左右する中心的な論点です。そしてこのズレを扱うのは、単式簿記がいちばん苦手とするところでもあります。

クレカ払いでよくある失敗「二重計上」

ありがちなのが、買ったときに支出として記録し、引き落とし日にもう一度支出として記録してしまうパターンです。これだと同じ買い物を2回数えることになり、支出が実際の倍になってしまいます。逆に、引き落とし日だけ記録すると、利用した月の支出がまるごと抜け落ち、「今月いくら使ったか」が分からなくなります。

正解は「利用時」と「引き落とし時」を分ける

複式簿記では、クレカ利用を次の二段階で考えます。

たとえば、3,000円の食料品をカードで買い、翌月に銀行口座から引き落とされた場合も、この二段階で考えます。

具体例:カードで買って翌月引き落とされるまでの仕訳

実際の仕訳(借方/貸方)で見比べてみましょう。4月20日に3,000円の食料品をカードで買い、5月27日に普通預金から引き落とされたケースです。

タイミング借方貸方
4月20日・利用時食費 3,000円未払金(カード)3,000円
5月27日・引き落とし時未払金(カード)3,000円普通預金 3,000円

ポイントは、支出として数えるのは「利用時」だけという点です。引き落としは「負債を預金で精算しただけ」なので、支出には含めません。これで二重計上は起きず、利用した月の支出も正しく記録されます。

4月の損益には食費3,000円が入り、4月末の貸借対照表には未払金3,000円が残ります。5月の引き落としでは普通預金と未払金が同額だけ減るため、5月の支出は増えません。このように費用が発生した月と、現金が動いた月を分けて記録できるのが複式簿記の利点です。

カード会社の利用明細は、未払金の補助資料として使えます。利用明細の合計とカード科目の残高、引き落とし額の3つを照合すると、記帳漏れ・金額違い・二重計上を見つけやすくなります。

リボ払い・分割払いの手数料の扱い

分割やリボは、利用時にまとめて未払金(負債)を計上し、毎月の支払いで少しずつ取り崩していきます。手数料(利息)が発生する場合は、その分を支払利息という費用として別に記録すると、「分割で結局いくら多く払ったか」が見えるようになります。

たとえば60,000円の家電を分割払いで購入し、3回の支払額が各回20,500円(元本20,000円+手数料500円)だったとします。利用時には家電の代金60,000円を未払金として計上し、各回の返済時に元本と手数料を分けます。

タイミング借方貸方
利用時家具・家電費 60,000円未払金(カード)60,000円
各回の引き落とし未払金(元本)20,000円
支払利息(手数料)500円
普通預金 20,500円

3回分の支払総額は61,500円で、購入代金60,000円に対して追加で支払った手数料は合計1,500円です。返済額の全額を未払金の減少にすると、元本を払い終えた後も帳簿と明細が合わなくなります。毎月の明細にある元本充当額と手数料を確認し、別々に記帳しましょう。

リボ払いも考え方は同じです。ただし月々の支払額に占める元本と手数料は一定とは限りません。定額の返済額だけを見て按分せず、カード会社の明細に記載された内訳を使うと、未払金残高と実際の残債を合わせやすくなります。

カードを複数枚使い分けている場合

クレジットカードを複数枚使うなら、「未払金(Aカード)」「未払金(Bカード)」のように、カードごとに負債科目を分けるのがおすすめです。すべてを「未払金(カード)」へまとめることもできますが、どのカードの利用残高なのか分からず、明細との照合が難しくなります。

管理項目AカードBカード
負債科目未払金(Aカード)未払金(Bカード)
締め日毎月15日毎月末日
引き落とし日翌月10日翌月27日
引き落とし口座生活用口座給与口座

カードごとに締め日と引き落とし日のサイクルが違うため、同じ利用月でも請求月がずれることがあります。カード単位で科目を分けておけば、それぞれの請求確定額と負債残高を照合でき、「Aカードの返済をBカードの未払金から消してしまう」といったミスも防げます。

締め日をまたぐ返品・キャンセルの記帳

カードで買った商品を返品・キャンセルした場合は、元の購入仕訳を消すのではなく、借方と貸方を逆にした取消仕訳(逆仕訳)を記録します。たとえば5,000円の衣類を返品したなら、購入時と返品時は次のようになります。

タイミング借方貸方
購入時衣服費 5,000円未払金(カード)5,000円
返品・キャンセル時未払金(カード)5,000円衣服費 5,000円

締め日前に取消が反映されれば、請求額と未払金は差し引きゼロになります。一方、締め日をまたぐと、いったん購入代金が引き落とされ、返金が翌月の請求から差し引かれることがあります。その場合も返品日に逆仕訳を記録し、カード明細に返金が反映された月まで未払金残高を照合します。

現金や銀行振込で返金された場合は、返金先の「現金」または「普通預金」を借方にし、元の費目を貸方にします。カード請求からの相殺なのか、別の方法で返金されたのかを明細で確認して、実際のお金の動きに合わせるのがポイントです。

ポイント・キャンペーン還元の扱い

ポイントで支払った場合

貯まったポイントで支払った分は、実質的な値引きや収入と考えます。たとえば500ポイント使ったなら、その分を雑収入として扱い、家計の収入側に反映させると実態に合います。

家計簿では、主に「購入時の値引き」と「雑収入」の2つの方法があります。どちらを選んでも、同じポイントを獲得時と利用時の両方で収入にしないことが大切です。

方法記帳例(3,000円の商品に500ポイント)特徴
値引きとして扱う費目 2,500円/未払金 2,500円実際に支払う金額だけを支出にでき、記帳が簡単
雑収入として扱う費目 3,000円/未払金 2,500円+雑収入 500円商品の定価とポイントによる恩恵を分けて把握できる

購入後に付与されるキャンペーン還元も、支払額から直接差し引かれるなら値引き、後日ポイントや残高として受け取るなら雑収入として扱うと整理しやすくなります。ただし、少額のポイントを細かく追う負担が大きい場合は、利用した時点だけ値引きとして記録する簡便な方法でも構いません。家計内で一貫したルールを決めましょう。

ふるさと納税をカードで払った場合は、ここに「立替金」の論点が加わります。自己負担2,000円を除いた分は翌年に控除として戻るため、支出ではなく一時的な立替として扱う方法があります。カードの未払金と組み合わせた記帳はふるさと納税の家計簿のつけ方で解説しています。

kurofukubo にはクレジット専用の画面があり、カードごとの「締め日 → 引き落とし日」のサイクルと未払い残高を管理できます。締め日・引き落とし日・引き落とし月のずれ・引き落とし口座を設定しておけば、請求サイクルに沿って返済を記帳できます。

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kurofukuboでの記帳手順

複式簿記と聞くと難しそうですが、kurofukubo ならクレジット画面からカードごとの請求と返済を管理できます。

  1. 「勘定科目・口座」でカードごとの負債科目を用意し、その負債科目にクレジットカード設定を追加する(初回のみ)。
  2. カード設定で「締め日」「引き落とし日」「引き落とし月のずれ」「引き落とし口座」を登録する。カードごとに異なる請求サイクルを設定できます。
  3. カードで買い物をしたら、利用日に費目を借方、該当カードの負債科目を貸方として記帳する。
  4. 請求サイクルが締まったら「クレジット」画面を開き、対象カードの利用額と請求対象期間を確認する。
  5. 各カードにある「このカードの返済を記帳」ボタンを押す。引き落とし口座からカード負債を返済する仕訳がワンボタンで作成されるので、金額と日付を確認して記帳する。
  6. 記帳後、カードの未払い残高とカード会社の明細を照合する。返品や手数料がある場合は、それぞれ逆仕訳または費用として追加する。

返済仕訳は、登録したカード設定と帳簿上の利用記録をもとに作成します。請求サイクルが締まった後に内容を確認して記帳することで、引き落としをもう一度支出として登録するミスを防げます。

よくある質問

クレジットカードの帳簿はいつ付けますか?

「利用したとき」と「口座から引き落とされたとき」の2回に分けて記録します。利用時に費目を計上し、引き落とし時に未払い(負債)を消すのが基本です。

二重計上を防ぐにはどうすればいいですか?

買ったときと引き落とし日の両方を支出にすると倍に数えてしまいます。引き落としは「負債の返済(カード→預金)」として記録すれば、支出は1回だけになります。

ポイント利用はどう記録しますか?

ポイントを購入代金の値引きとして扱う方法と、獲得時または利用時に雑収入として扱う方法があります。家計内でルールを決め、同じポイントを両方で計上しないようにします。

リボ払いはどう記帳しますか?

利用時に購入代金の全額を未払金として計上し、毎月の返済では元本分だけ未払金を減らします。手数料は支払利息などの費用に分けると、追加で支払った総額が分かります。

カードが複数枚あるときは科目を分けるべきですか?

カードごとに未払金などの負債科目を分けるのがおすすめです。締め日・引き落とし日・引き落とし口座が違っても、明細と残高をカード単位で照合しやすくなります。

カード利用を返品したときはどうしますか?

元の購入仕訳の借方と貸方を逆にした取消仕訳を記録します。返金が翌月以降になる場合は、カード明細に返金が反映されるまで未払金の残高を確認します。

※ 本記事は家計管理上の記録方法の一例です。分割・リボの手数料の扱いや税務上の取り扱いについては、カード会社の明細および税務署・税理士の案内をご確認ください。

はじめる前に:口座と「いまの残高」の登録方法(最初にここでつまずく人が多いポイントです)

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出典

  • 経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」2026年3月31日公表 — キャッシュレス決済比率58.0%(162.7兆円)と、クレジットカード・デビットカード・電子マネー・コード決済の内訳。原数値は(一社)日本クレジット協会「クレジットカード動態調査」、日本銀行「決済動向」、(一社)キャッシュレス推進協議会「コード決済利用動向調査」にもとづきます。

本記事の仕訳例は家計簿への記帳方法を解説するもので、企業会計の実務や税務申告の基準を示すものではありません。分割払い・リボ払いの手数料の実際の額や計算方法は、ご利用のカード会社の規約・明細でご確認ください。

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