クレジットカードは家計簿でつまずきやすいポイントの代表です。「買ったとき」と「口座から引き落とされたとき」の二つのタイミングがあるため、つけ方を間違えると支出を二重に数えてしまいます。この記事では、複式簿記の考え方でクレカ払いを正しく記録する方法を、具体的な仕訳例で解説します。

ひと昔前なら、家計簿は現金の出入りを書けば足りました。いまは事情が違います。経済産業省が2026年3月に公表した数字では、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)。そしてその内訳を見ると、圧倒的にカードです。
| 決済手段 | キャッシュレス決済額に占める割合 | 金額 |
|---|---|---|
| クレジットカード | 82.7% | 134.6兆円 |
| コード決済 | 10.2% | 16.6兆円 |
| 電子マネー | 3.7% | 6.0兆円 |
| デビットカード | 3.4% | 5.5兆円 |
民間最終消費支出のうち6割近くがキャッシュレスで、そのうち8割超がクレジットカード。つまり多くの家庭では、支出の半分近くが「使った日と、お金が出ていく日がずれる」取引になっています。経済産業省は2030年までに65%という中間目標を掲げているので、この比率は今後さらに上がります。
ありがちなのが、買ったときに支出として記録し、引き落とし日にもう一度支出として記録してしまうパターンです。これだと同じ買い物を2回数えることになり、支出が実際の倍になってしまいます。逆に、引き落とし日だけ記録すると、利用した月の支出がまるごと抜け落ち、「今月いくら使ったか」が分からなくなります。
複式簿記では、クレカ利用を次の二段階で考えます。
たとえば、3,000円の食料品をカードで買い、翌月に銀行口座から引き落とされた場合も、この二段階で考えます。
実際の仕訳(借方/貸方)で見比べてみましょう。4月20日に3,000円の食料品をカードで買い、5月27日に普通預金から引き落とされたケースです。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 4月20日・利用時 | 食費 3,000円 | 未払金(カード)3,000円 |
| 5月27日・引き落とし時 | 未払金(カード)3,000円 | 普通預金 3,000円 |
ポイントは、支出として数えるのは「利用時」だけという点です。引き落としは「負債を預金で精算しただけ」なので、支出には含めません。これで二重計上は起きず、利用した月の支出も正しく記録されます。
4月の損益には食費3,000円が入り、4月末の貸借対照表には未払金3,000円が残ります。5月の引き落としでは普通預金と未払金が同額だけ減るため、5月の支出は増えません。このように費用が発生した月と、現金が動いた月を分けて記録できるのが複式簿記の利点です。
分割やリボは、利用時にまとめて未払金(負債)を計上し、毎月の支払いで少しずつ取り崩していきます。手数料(利息)が発生する場合は、その分を支払利息という費用として別に記録すると、「分割で結局いくら多く払ったか」が見えるようになります。
たとえば60,000円の家電を分割払いで購入し、3回の支払額が各回20,500円(元本20,000円+手数料500円)だったとします。利用時には家電の代金60,000円を未払金として計上し、各回の返済時に元本と手数料を分けます。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 利用時 | 家具・家電費 60,000円 | 未払金(カード)60,000円 |
| 各回の引き落とし | 未払金(元本)20,000円 支払利息(手数料)500円 | 普通預金 20,500円 |
3回分の支払総額は61,500円で、購入代金60,000円に対して追加で支払った手数料は合計1,500円です。返済額の全額を未払金の減少にすると、元本を払い終えた後も帳簿と明細が合わなくなります。毎月の明細にある元本充当額と手数料を確認し、別々に記帳しましょう。
リボ払いも考え方は同じです。ただし月々の支払額に占める元本と手数料は一定とは限りません。定額の返済額だけを見て按分せず、カード会社の明細に記載された内訳を使うと、未払金残高と実際の残債を合わせやすくなります。
クレジットカードを複数枚使うなら、「未払金(Aカード)」「未払金(Bカード)」のように、カードごとに負債科目を分けるのがおすすめです。すべてを「未払金(カード)」へまとめることもできますが、どのカードの利用残高なのか分からず、明細との照合が難しくなります。
| 管理項目 | Aカード | Bカード |
|---|---|---|
| 負債科目 | 未払金(Aカード) | 未払金(Bカード) |
| 締め日 | 毎月15日 | 毎月末日 |
| 引き落とし日 | 翌月10日 | 翌月27日 |
| 引き落とし口座 | 生活用口座 | 給与口座 |
カードごとに締め日と引き落とし日のサイクルが違うため、同じ利用月でも請求月がずれることがあります。カード単位で科目を分けておけば、それぞれの請求確定額と負債残高を照合でき、「Aカードの返済をBカードの未払金から消してしまう」といったミスも防げます。
カードで買った商品を返品・キャンセルした場合は、元の購入仕訳を消すのではなく、借方と貸方を逆にした取消仕訳(逆仕訳)を記録します。たとえば5,000円の衣類を返品したなら、購入時と返品時は次のようになります。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 購入時 | 衣服費 5,000円 | 未払金(カード)5,000円 |
| 返品・キャンセル時 | 未払金(カード)5,000円 | 衣服費 5,000円 |
締め日前に取消が反映されれば、請求額と未払金は差し引きゼロになります。一方、締め日をまたぐと、いったん購入代金が引き落とされ、返金が翌月の請求から差し引かれることがあります。その場合も返品日に逆仕訳を記録し、カード明細に返金が反映された月まで未払金残高を照合します。
現金や銀行振込で返金された場合は、返金先の「現金」または「普通預金」を借方にし、元の費目を貸方にします。カード請求からの相殺なのか、別の方法で返金されたのかを明細で確認して、実際のお金の動きに合わせるのがポイントです。
貯まったポイントで支払った分は、実質的な値引きや収入と考えます。たとえば500ポイント使ったなら、その分を雑収入として扱い、家計の収入側に反映させると実態に合います。
家計簿では、主に「購入時の値引き」と「雑収入」の2つの方法があります。どちらを選んでも、同じポイントを獲得時と利用時の両方で収入にしないことが大切です。
| 方法 | 記帳例(3,000円の商品に500ポイント) | 特徴 |
|---|---|---|
| 値引きとして扱う | 費目 2,500円/未払金 2,500円 | 実際に支払う金額だけを支出にでき、記帳が簡単 |
| 雑収入として扱う | 費目 3,000円/未払金 2,500円+雑収入 500円 | 商品の定価とポイントによる恩恵を分けて把握できる |
購入後に付与されるキャンペーン還元も、支払額から直接差し引かれるなら値引き、後日ポイントや残高として受け取るなら雑収入として扱うと整理しやすくなります。ただし、少額のポイントを細かく追う負担が大きい場合は、利用した時点だけ値引きとして記録する簡便な方法でも構いません。家計内で一貫したルールを決めましょう。
ふるさと納税をカードで払った場合は、ここに「立替金」の論点が加わります。自己負担2,000円を除いた分は翌年に控除として戻るため、支出ではなく一時的な立替として扱う方法があります。カードの未払金と組み合わせた記帳はふるさと納税の家計簿のつけ方で解説しています。
複式簿記と聞くと難しそうですが、kurofukubo ならクレジット画面からカードごとの請求と返済を管理できます。
返済仕訳は、登録したカード設定と帳簿上の利用記録をもとに作成します。請求サイクルが締まった後に内容を確認して記帳することで、引き落としをもう一度支出として登録するミスを防げます。
「利用したとき」と「口座から引き落とされたとき」の2回に分けて記録します。利用時に費目を計上し、引き落とし時に未払い(負債)を消すのが基本です。
買ったときと引き落とし日の両方を支出にすると倍に数えてしまいます。引き落としは「負債の返済(カード→預金)」として記録すれば、支出は1回だけになります。
ポイントを購入代金の値引きとして扱う方法と、獲得時または利用時に雑収入として扱う方法があります。家計内でルールを決め、同じポイントを両方で計上しないようにします。
利用時に購入代金の全額を未払金として計上し、毎月の返済では元本分だけ未払金を減らします。手数料は支払利息などの費用に分けると、追加で支払った総額が分かります。
カードごとに未払金などの負債科目を分けるのがおすすめです。締め日・引き落とし日・引き落とし口座が違っても、明細と残高をカード単位で照合しやすくなります。
元の購入仕訳の借方と貸方を逆にした取消仕訳を記録します。返金が翌月以降になる場合は、カード明細に返金が反映されるまで未払金の残高を確認します。
※ 本記事は家計管理上の記録方法の一例です。分割・リボの手数料の扱いや税務上の取り扱いについては、カード会社の明細および税務署・税理士の案内をご確認ください。
はじめる前に:口座と「いまの残高」の登録方法(最初にここでつまずく人が多いポイントです)
クレカ払いの負債管理も、複式家計簿なら自動で見える化。無料で試せます。 登録は1分・クレジットカード不要・連携なし。
無料で始める本記事の仕訳例は家計簿への記帳方法を解説するもので、企業会計の実務や税務申告の基準を示すものではありません。分割払い・リボ払いの手数料の実際の額や計算方法は、ご利用のカード会社の規約・明細でご確認ください。
関連記事:はじめての使い方ガイド / なぜ家計に複式簿記? / 家計のBS・PLの読み方 / 家計の純資産とは? / ガイド一覧へ