ふるさと納税は「寄附」「返礼品」「翌年の税の控除」と、お金の流れが時間をまたいで複雑になるため、家計簿のつけ方に迷いがちです。単なる支出として記録すると、実態より家計が悪く見えてしまいます。この記事では、具体的な仕訳例・ワンストップ特例と確定申告の違い・返礼品や上限額の扱いまで、ふるさと納税を実態に合わせて記帳する方法をまとめて解説します。

ふるさと納税は、ざっくり次のような流れになります。
ポイントは、寄附額の大部分は「使ってなくなったお金」ではなく、翌年の税金で戻ってくる前払い(立替)に近いという点です。ここを「ただの支出」として記録してしまうと、家計が実際より苦しく見えてしまいます。
家計簿のつけ方には大きく2通りあります。シンプルさを取るか、実態の正確さを取るかで選びましょう。
| 方法 | 寄附時の扱い | 向いている人 |
|---|---|---|
| シンプル法 | 全額を「ふるさと納税(支出)」として記録 | とにかく手間を減らしたい人 |
| 立替法 | 自己負担2,000円だけ支出、残りは「立替金(資産)」として記録 | 純資産を正確に保ちたい人 |
立替法では、たとえば3万円寄附したら、2,000円を寄附金(支出)、28,000円を立替金(資産)として記録します。こうすると、「戻ってくる予定のお金」が資産として残るので、純資産が一時的に減って見えることを防げます。
実際の仕訳(借方/貸方)で見比べてみましょう。銀行口座から30,000円を寄附したケースです。
→ 借方・貸方の考え方そのものは 複式簿記の家計簿とは? で解説しています。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 寄附時 | ふるさと納税(支出)30,000円 | 普通預金 30,000円 |
| 翌年(控除を反映する場合) | 普通預金 or 立替なしのため記帳不要 | 雑収入 28,000円(任意) |
記帳は1回で終わります。ただしこの年の「支出」が3万円増えるので、年間収支が実態より約2.8万円悪く見えるのが欠点です。気になる場合は、翌年の控除時に雑収入28,000円を計上すると通算で辻褄が合います。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 寄附時 | ふるさと納税(支出)2,000円 立替金(資産)28,000円 | 普通預金 30,000円 |
| 翌年・控除時 | (住民税が減るたび)立替金の取り崩し | 立替金(資産)28,000円(合計) |
寄附の瞬間に確定する「本当のコスト」は自己負担の2,000円だけ。残り28,000円は「翌年戻ってくる予定のお金」として資産に残ります。純資産の推移を追いたい人はこちらが正確です。
翌年の「戻り方」は、どちらの手続きを選んだかで変わります。ここを知らないと「立替金がいつまでも消えない」と混乱しがちです。まず、どちらを使えるかの条件から確認します。
総務省の説明では、ワンストップ特例の申請ができるのは次の両方を満たす場合です。
6団体以上に寄附した場合は、確定申告が必要です。寄附した「回数」ではなく「自治体の数」で数える点に注意してください。同じ自治体に3回寄附しても1団体です。家計簿でタグ集計をするなら、金額の累計だけでなく自治体名の異なる件数も見ておくと、年末に慌てずに済みます。
申請したあとに引っ越した場合は、追加の手続きが要ります。総務省は、提出済みの申請書の内容に変更があったときは、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ変更届出書を提出するよう案内しています。年末に寄附して年明けに転居する人が見落としやすい手続きです。
医療費控除などで確定申告をする年は、ワンストップ特例に頼れません。総務省は、5団体を超えて寄附した方に加えて「ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告を行う方」も、控除を受けるためには確定申告を行う必要があると説明しています。申請書を出していても、別の理由で確定申告をするなら、その申告のなかでふるさと納税の分もあわせて申告してください。医療費が10万円を超えそうな年は、年末の寄附を決める前に見込みを確かめておくと安全です(医療費控除の計算方法)。
| 手続き | 戻り方 | 家計簿への反映 |
|---|---|---|
| ワンストップ特例 | 所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が翌年度の住民税の減額として戻る(現金は振り込まれない) | 毎月の住民税が安くなった分だけ立替金を取り崩す |
| 確定申告 | 所得税分はその年の所得税から控除され、既に納めている所得税があれば還付されることがある。住民税分は翌年度の住民税が減額される | 還付金の入金時に「普通預金/立替金」、住民税分は減額のつど取り崩し |
確定申告を選ぶ場合の期限は、寄附をした翌年の3月15日までに住所地の所轄税務署へ、というのが総務省の案内です。寄附を証明する書類(受領書)が必要になります。
ワンストップ特例は現金が一切動かないため、記帳を忘れやすいのが注意点です。給与明細の住民税額が6月から変わっているのを確認して取り崩しましょう。
「上限を超えると自腹」とよく言われますが、その上限がどこから来るのかを知っておくと、家計簿での管理精度が上がります。総務省が示している計算式は3本立てです。
| 控除の種類 | 計算式 | 対象となる寄附額の上限 |
|---|---|---|
| 所得税からの控除 | (ふるさと納税額 − 2,000円)× 所得税の税率 | 総所得金額等の40% |
| 住民税からの控除(基本分) | (ふるさと納税額 − 2,000円)× 10% | 総所得金額等の30% |
| 住民税からの控除(特例分) | (ふるさと納税額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率) | 特例分が住民税所得割額の2割を超えない範囲 |
なお所得税の税率は、令和19年中の寄附までは復興特別所得税の税率を加えた率が使われます。また特例分の計算に使う所得税の税率は、住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額で求めるため、所得税本体の税率と一致しないことがあります。正確な上限額は各自治体やポータルのシミュレーターで確認してください。この記事は記帳方法の解説であり、税額計算の代わりにはなりません。
厳密にやるなら毎月の給与記帳のたびに按分して取り崩しますが、正直手間です。おすすめは年1回まとめて取り崩す方法。毎年5〜6月に届く「住民税決定通知書」の税額控除欄で実際の控除額を確認し、その金額で立替金を一括で消し込めば、実態との誤差も検証できて一石二鳥です。
基本的には記帳しなくてOKです。返礼品は「モノ」であり、家計簿はお金の動きを記録するものだからです。ただし、米や日用品など「本来買うはずだったもの」が返礼品で賄えた場合、その月の食費・日用品費が自然と下がる形で家計に反映されます。
「返礼品でどれだけ得したか」を数字で見たい人は、受け取った返礼品の市価をメモ欄に書いておくか、ふるさと納税用のタグを付けた0円仕訳(備忘記録)を残す方法もあります。ここは好みで構いません。
ふるさと納税には年収や家族構成で決まる控除上限があり、超えた分は純粋な自腹になります。上限の目安は各ポータルサイトのシミュレーターで計算できますが、「今年あといくら寄附できるか」の管理は家計簿の得意分野です。
特に12月の駆け込み寄附で上限を超えるケースが多いので、秋頃に一度、年収見込みと寄附累計を確認しておくと安心です。
12月に駆け込みで寄附した場合、控除の対象になるのはその年ですが、実際に税金が戻るのは翌年6月以降。つまりお金が拘束される期間が最長で1年半近くになります。立替法で記帳していれば、この「戻り待ちの金額」が貸借対照表に残高として見えるので、年末の資金繰りを考えるときに役立ちます。逆にシンプル法だと、12月の支出が跳ね上がって「今年は使いすぎた」と誤解しやすいので、ふるさと納税タグで通常の支出と区別しておきましょう。
→ 年に1回の大きな支出を月次の枠と分けて置く方法は 家計の予算の立て方 へ。
「その年の寄附」かどうかは、支出した年で決まります。国税庁は寄附金控除の額を「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」と定めているため、年をまたぐと控除されるタイミングが1年後ろにずれます。12月下旬に申し込む場合は、自治体やポータルサイトごとに年内受付の締切が異なるので、各サイトの案内を必ず確認してください。
寄附額の一部をポイントで支払った場合、実際に口座から出たお金だけを貸方に記帳し、ポイント充当分は雑収入(または値引き)として扱うと実態に合います。たとえば30,000円の寄附に3,000ポイント使ったなら、借方はふるさと納税2,000円+立替金28,000円、貸方は普通預金27,000円+雑収入3,000円です。控除の計算対象になるのは自治体が受領した寄附額であり、その支払いにポイントを充てたかどうかで寄附額そのものが変わるわけではありません。
控除は「寄附した本人の税金」から引かれます。共働きで夫婦それぞれが寄附する場合、家計簿はひとつでも、立替金は名義別に管理しないと「誰の住民税がいくら減るのか」が分からなくなります。kurofukubo なら「立替金(夫)」「立替金(妻)」のように科目を分けるか、名義タグを付けておくと、取り崩し時に迷いません。
複式簿記と聞くと難しそうですが、kurofukubo なら一行入力で済みます。
→ 口座の登録から最初の記帳までは はじめての使い方ガイド にまとめています。
貸借対照表(BS)を開けば、立替金がまだいくら残っているか=「あといくら戻る予定か」がいつでも確認できます。単式の家計簿アプリではこの「戻り待ちのお金」を資産として持てないため、ここが複式簿記の実用的なメリットです。
全額を支出にせず、自己負担2,000円だけを支出、残りは「立替金(資産)」として記録するのがおすすめです。翌年に戻る分を資産として残せるため、純資産を正しく保てます。
手間を減らしたいなら全額を支出にするシンプル法でも構いません。ただし寄附額の大部分は翌年の税で戻る前払いなので、立替金(資産)で記録する方が実態に合います。
住民税が安くなった分だけ「立替金(資産)」を取り崩します。1年かけて立替金がゼロに近づき、最終的に自己負担2,000円だけが支出として残ります。
変わります。ワンストップ特例は全額が翌年6月からの住民税減額で戻る(現金は動かない)ため、減額分の取り崩しのみ。確定申告では所得税分が還付金として振り込まれるので、入金時に「普通預金/立替金」の仕訳を切ります。
基本的に不要です。返礼品はモノであり、お金の動きではないためです。得した額を見たい場合は、市価をメモ欄に残すかタグ付きの備忘記録を残す方法があります。
上限を超えた部分は控除されず、自己負担になります。総務省の説明では、住民税からの控除(特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合は別の計算式が適用され、所得税・住民税基本分・住民税特例分の3つを合計しても(ふるさと納税額−2,000円)の全額は控除されず、実質負担額が2,000円を超えます。家計簿では、超過が判明した時点でその分を立替金から「ふるさと納税(支出)」へ振り替えると実態に合います。
使えません。総務省の案内では、確定申告の不要な給与所得者等で、かつふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限られます。6団体以上に寄附した場合は確定申告が必要です。数えるのは寄附の回数ではなく自治体の数で、同じ自治体に複数回寄附しても1団体として数えます。
現在はもらえません。総務省は2024年6月28日付の告示改正で、寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止し、令和7年(2025年)10月1日から適用しています。違反した場合は指定の取消しの対象になります。
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※ 本記事は家計管理上の記録方法の一例であり、税務上の取り扱いや控除額については、お住まいの自治体・税務署の案内や公式情報をご確認ください。
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