純資産はいくらあれば安心? — 年代・年収別の目安と「自分の必要額」の出し方

「純資産っていくらあれば安心なの?」は、お金のことを考え始めると誰もが気になる問いです。正直にお伝えすると、万人共通の正解はありません。必要な金額は生活費・家族構成・住まい方で大きく変わるからです。それでも、目安の立て方と「自分にとっての必要額」を計算する方法はあります。この記事では、よくある目安の考え方と、自分の数字に落とし込む手順を解説します。

この記事の要点
  • 二人以上世帯の金融資産の実際の中央値は40歳代で500万円、50歳代で700万円(J-FLEC 2025年調査)。
  • 一方で目標残高の中央値は全年代で2,000万円。40歳代では実際と1,500万円の開きがある。
  • 老後の不足額を家計調査2024年で計算すると、夫婦高齢者無職世帯で月34,059円の赤字=30年で約1,226万円。「2,000万円」より小さく出る。
  • 絶対額より「純資産が毎月増えているか」を見ることが本質。
記帳が純資産に反映されたダッシュボード画面
まず自分の純資産の現在地を知ることが、必要額を考える出発点です(アプリ実画面)

大前提:「いくらあれば安心」は人によって違う

同じ1,000万円の純資産でも、毎月の生活費が15万円の人と35万円の人とでは、安心できる年数がまったく違います。持ち家か賃貸か、子どもの教育費がこれからか終わったか、収入が安定しているかどうかでも変わります。だからこそ「平均はいくら」よりも、自分の暮らしに必要な金額を基準にするのが正解です。とはいえ、ゼロから考えるのは難しいので、まずは次の3つの目安を出発点にしましょう。

役立つ4つの目安

① 生活防衛資金(まずはここから)

万一の失業・病気・収入減に備える、すぐ使える現金・預金です。一般的な目安は生活費の3〜6か月分。自営業・フリーランスなど収入が不安定な人は6〜12か月分あると安心です。これは純資産全体の話というより「いつでも引き出せるお金」をいくら確保するか、という土台の目安です。

② 同年代は実際いくら持っているか

「手取り年収の何倍」という経験則がよく紹介されますが、出所が示されないことがほとんどです。ここでは実測値を使います。金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(二人以上世帯・5,000世帯)から、金融資産保有額の年代別中央値です。

世帯主の年代実際の保有額(中央値)同(平均)金融資産の非保有率
20歳代125万円525万円21.6%
30歳代311万円1,096万円17.6%
40歳代500万円1,486万円18.8%
50歳代700万円1,908万円18.2%
60歳代1,400万円2,683万円12.8%
70歳代1,178万円2,416万円10.9%

金融資産非保有の世帯を含む数字です。どの年代でも1〜2割は「金融資産ゼロ」で、20歳代では5世帯に1世帯を超えます。なお金融資産とは別に住宅など実物資産や負債があるため、これは純資産そのものではありません(詳しくは純資産の平均・中央値は?)。

③ そして、いくらを目標にしているか

同じ調査には「金融資産目標残高」を尋ねた設問もあります。実際の保有額と並べると、意識と現実の距離が見えます。

世帯主の年代実際(中央値)目標(中央値)
20歳代125万円800万円675万円
30歳代311万円2,000万円1,689万円
40歳代500万円2,000万円1,500万円
50歳代700万円2,000万円1,300万円
60歳代1,400万円2,000万円600万円
70歳代1,178万円2,000万円822万円

注目したいのは、目標の中央値が30歳代から70歳代まで一律2,000万円である点です。年齢が上がっても目標額はほとんど動かず、実際の保有額だけが近づいていきます。多くの人が「2,000万円」という数字を、自分の生活費から逆算せずに目標として持っている——そう読める結果です。

④ 老後の必要額を、実データで計算し直す

その「2,000万円」を、いまの統計で計算し直してみます。総務省「家計調査」2024年平均の高齢無職世帯の収支です。

世帯可処分所得消費支出月の不足平均消費性向
夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみ)222,462円256,521円−34,059円115.3%
高齢単身無職世帯(65歳以上の単身)121,469円149,286円−27,817円122.9%

この不足を年数分だけ資産から取り崩すと仮定すると、必要額は次のようになります。

取り崩す年数夫婦高齢者無職世帯高齢単身無職世帯
20年(65歳→85歳)約817万円約668万円
25年(65歳→90歳)約1,022万円約835万円
30年(65歳→95歳)約1,226万円約1,001万円

2019年に話題になった「老後2,000万円」は、当時の家計調査で月約5.5万円の赤字が30年続く前提から出た数字でした。2024年の家計調査で同じ計算をすると、夫婦で30年でも約1,226万円です。赤字幅が縮んだ主因は、高齢者の就業が増えて実収入が上がったことにあります。

ただし、この数字を安心材料にしないでください。これは「平均的な高齢無職世帯が、平均的な支出を続けた場合」の額にすぎません。介護・住宅の修繕・持ち家でない場合の家賃は、この消費支出には十分に織り込まれていません。実際、J-FLECの同調査で老後の生活を「非常に心配」「多少心配」と答えた世帯は合わせて62.1%にのぼり、その理由の第1位は「十分な金融資産がないから」(61.9%)です。

参考までに、同じ調査で世帯自身が答えた老後の想定額はもっと大きくなっています。老後のひと月あたり最低予想生活費は平均42万円(世帯主60歳未満では45万円、60歳以上では39万円)、年金支給時に最低準備しておく金融資産残高は平均2,267万円(60歳未満では2,399万円)でした。家計調査の実績(夫婦で月25.7万円の消費支出)と、世帯が「最低これくらい要る」と考える額(42万円)には、大きな開きがあります。

年金への見方も参考になります。同調査で年金について「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えた世帯は35.2%、「ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる」が52.8%、「さほど不自由なく暮らせる」は12.0%でした。また老後の生活費の収入源(3つまでの複数回答)は、公的年金59.1%に対し、就業による収入が42.5%、金融資産の取り崩しが26.9%です。「資産を取り崩して暮らす」より「働き続ける」を見込む世帯のほうが多いのが実情です。

ここまでの数字は統計の平均・中央値であり、あなたの必要額ではありません。持ち家か賃貸か、年金の見込み額、健康状態で大きく変わります。自分の前提で計算し、純資産が右肩上がりかを見るのが本質です。次の3ステップで自分の数字に落とし込んでください。

「自分の必要額」を出す3ステップ

  1. 月の生活費を把握する。 直近数か月の支出をならして、1か月にいくらで暮らしているかを出します。
  2. 必要な月数・年数をかける。 生活防衛資金なら「生活費×3〜12か月」、老後資金なら「年間支出×老後の年数 - 年金」で必要額を見積もります。
  3. 今の純資産と比べる。 目標額に対して、いま自分がどこにいるかを確認します。早くFIRE(経済的自立)を目指す人は、目安として「年間支出×25」(いわゆる4%ルール)も使われます(運用前提があるため、あくまで一つの考え方です)。

いちばん大事なのは「絶対額」より「増えているか」

必要額が見えたら、あとは毎月の純資産を1本の線として追うだけです。多くの人は支出の細かさに気を取られますが、「先月より純資産が増えたか」こそが家計が前に進んでいるかのサインです。目標額に向かって着実に伸びていれば、いまの絶対額が目安に届いていなくても、家計は健全に育っています。

そのためには、まず今の純資産を正確に知ることが第一歩です。kurofukubo は複式簿記の仕組みで記帳するため、預金・投資・カードの未払いまで含めた純資産が自動で計算され、推移グラフで「増えているか」をひと目で確認できます。

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よくある質問

純資産はいくらあれば安心ですか?

万人共通の正解はありません。まず生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)を土台に、同年代の実測値と老後の必要額から逆算します。J-FLEC 2025年調査では二人以上世帯の金融資産の中央値が40歳代500万円・50歳代700万円、家計調査2024年から計算した老後の不足額は夫婦高齢者無職世帯で30年約1,226万円です。大切なのは絶対額より「純資産が増えているか」です。

30代・40代の純資産の目安は?

J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(二人以上世帯)では、金融資産保有額の中央値は30歳代311万円、40歳代500万円でした(金融資産非保有の世帯を含む)。一方で同調査の金融資産目標残高の中央値は両年代とも2,000万円で、40歳代では実際と1,500万円の開きがあります。なお金融資産と純資産は別の概念です。

老後はいくら必要ですか?

総務省「家計調査」2024年平均では、夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみ)は可処分所得222,462円に対し消費支出256,521円で、月34,059円の不足です。この不足が続くと仮定すると20年で約817万円、30年で約1,226万円になります。高齢単身無職世帯は月27,817円の不足で、30年で約1,001万円です。よく聞く「2,000万円」は2019年当時の数字をもとにした試算で、直近のデータではこれより小さく出ます。ただし介護費用や賃貸の家賃は十分に織り込まれていないため、安心材料として扱わないでください。

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出典

「取り崩す年数ごとの必要額」は、家計調査の月次不足額が一定で続くと仮定して当サイトが単純計算したものです。運用益・物価変動・介護費用等は考慮していません。

※ 本記事の目安・倍率・金額は経験則および試算の一例であり、特定の収益や安心を保証するものではありません。年金額・必要額は個人差が大きいため、最終的な判断はご自身の前提と公式情報に基づいて行ってください。

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