家計で本当に見たいのは「今いくら持っているか」よりも、「増えているか・減っているか」です。それが一目で分かるのが純資産の推移グラフ。毎月末の純資産(資産−負債)を1本の線でつなぐだけで、家計が前に進んでいるかが見えます。この記事では、推移グラフの作り方(手動・自動)と、グラフの正しい読み方を解説します。

ある月の純資産が300万円。これだけでは、家計が良くなっているのか悪くなっているのか分かりません。先月が280万円なら順調、先月が330万円なら要注意です。1点の金額(残高)は状態を、線(推移)は方向を教えてくれます。家計の健康診断に必要なのは「方向」のほうです。
「推移で見る」ことの効き目は、公的統計でも確認できます。総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」から、二人以上の世帯の貯蓄現在高の10年間です。
| 年 | 2015 | 2018 | 2020 | 2022 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平均値(万円) | 1,805 | 1,752 | 1,791 | 1,901 | 1,984 |
| 中央値(万円) | 1,054 | 1,036 | 1,061 | 1,168 | 1,189 |
2024年の平均1,984万円は前年比4.2%増で、6年連続の増加、比較可能な2002年以降で最多です。ところが同じ年の中央値は1,189万円。この10年で平均は179万円伸びたのに対し、中央値は135万円しか伸びていません。差が開いているということは、伸びが一部の世帯に偏っているということです。
ちなみに同じ2024年の負債現在高は平均663万円です。貯蓄1,984万円から負債663万円を引いた約1,321万円が、平均的な二人以上世帯の純資産ということになります。貯蓄だけを追っていると、この660万円分を見落とします。
シンプルですが弱点もあります。毎月すべての残高を手で集計するのは手間がかかり、続きにくいこと。証券口座やカードを横断して足し上げる作業が、月を追うごとに億劫になります。
複式簿記で記帳する家計簿なら、日々の取引を入力するだけで資産・負債・純資産がつねに自動計算され、推移グラフも自動でできあがります。月末にまとめて集計し直す必要がありません。「給料が入った」「カードで買った」「証券を買った」を記録していくと、その裏で純資産が更新され続ける仕組みです。
| 見る点 | 読み取れること |
|---|---|
| 傾き(右肩上がりか) | 家計が前進しているかの最重要サイン。多少の上下より長期の向き |
| 前月比 | その月の増減。ボーナス月・大きな買い物の影響が出る |
| 増減の要因 | 収入で増えたのか、投資の含み益か、負債が減ったのか。中身を分けて見る |
| 目標線との差 | 「1年で+◯万円」など目標を引いて、ペースが足りているか確認 |
とくに注意したいのは、投資の値動きと、自分の貯蓄努力を混同しないこと。相場が上がって純資産が増えた月もあれば、努力して支出を抑えた月もあります。線が下がった月も、相場要因なら過度に落ち込む必要はありません。
株や投資信託は日々値段が動きます。毎日更新する必要はなく、月末に一度、評価額を反映すれば十分です。厳密さより継続が大切なので、ざっくりでも「毎月同じタイミングで記録する」ことを優先しましょう。含み益・含み損も純資産の一部として、現実の数字として受け止めるのがポイントです。
ただし、推移が伸びた理由が「自分で貯めたから」なのか「相場が上がったから」なのかは区別できると理想的です。前者は再現できますが、後者は翌月に逆回転することがあります。判断材料として、家計調査の「黒字」の内訳が参考になります。2024年平均の二人以上の世帯のうち勤労者世帯では、黒字197,432円のうち預貯金純増が175,241円、有価証券純購入は6,705円でした。現役世帯が自分の手で積み上げているものの大半は、いまも預金です。推移グラフが相場で大きく動く人ほど、入金額のほうも別に追っておく価値があります(貯蓄率の計算方法と目安)。
純資産の推移を、記帳するだけで自動グラフに。 登録は1分・クレジットカード不要・連携なし。
無料で純資産の推移を見る「純資産およそ1,321万円」は、公表された貯蓄現在高の平均から負債現在高の平均を差し引いて当サイトが算出した参考値です。家計調査の貯蓄・負債は金融資産と借入金が中心で、住宅などの実物資産は含まれません。
※ 投資の評価額は変動します。本記事は記録・可視化の方法を解説するもので、特定の運用成果を保証するものではありません。
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